Amazonプライム映画レビュー 第1弾 『貞子3D』
名作だよ!!嘘じゃないよ!!
つーわけで唐突に始める謎コーナーです。こう銘打てば定期的更新のネタができますやんな。
まあ初手『貞子3D』、というチョイスのヤバさは自覚しております。別にクソ映画レビューをするってわけじゃねえんだし、まずは普通に面白い映画を紹介した方がいいんじゃね?とは思います。僕が世界最高峰のエンターテインメントであると確信しているガルパン劇場版を含めたガルパン全編Amazonプライムで見れる今、そっちの紹介をすべき気もします。
でも僕はこの怪作を紹介したかった。
まずはこのタイトルをご覧いただきたい。
『貞子3D〜2Dバージョン~』。
もうこの時点で面白い。
3D作品だよーーーーーって全面に押し出したタイトルなのに、映画館以外では3Dにできないからとヤケクソのごとくつけられた「2Dバージョン」。
『劇場版◯◯〜TV放送エディション〜』とか『グロテスクver(規制あり)』みたいな、なんかこうズッコケそうな趣があります。
では肝心要の中身についてですが。
まずはそれについて警告はしておく必要はあるでしょう。
まず、この作品を見るにあたって『ホラー』を期待してはいけません。
既存の貞子、およびジャパニーズホラーにおいて傑作と名高い『リング』およびそれに連なるシリーズとは切り分けてください。
これを出来ないならば見るべきではない。僕は所謂『怖い映画』というのが大変苦手(具体例として『貞子VS伽椰子』の中盤までビビり倒すくらい。いやアレVS展開まではガチホラーじゃん)でして、ジャパニーズホラーの名作群を見る度胸もないチキンオブチキンですが、その僕にだってこの映画がジャパニーズホラーの代表の一角『リング』の顔に泥を塗る冒涜的な作品であることは理解できます。
断言しましょう。こんなものをホラーだと提出されたらブチギレます。貞子関連の作品のファンであるなら憤死してもおかしくない。
僕は怖い映画苦手なのに怖い話は好き、という難儀な男です。そういうわけで一時期怪談や怖い話を集めていた過去がありまして、だからある程度『ホラー』という概念についてある程度の理解があります。
その程度の知識でも分かります。これはホラーとして形を成せていない。
そしてこの作品、『ホラー』ではなく『モンスターパニック』であるという意見も度々聞かれます。まあ後半に出てくるアレをさしてそう唱える人がいることは不思議でもなんでもありません。
しかしモンスターパニック作品としても2流以下と言っていい。4流でも持ち上げ過ぎかなー?というレベルです。
まあぶっちゃけ、モンスターパニックを名乗るにしてはモンスター担当の出番とパゥワーが、うん。
ここまでお読みいただければ分かるでしょう。
普通の視点から見るにおいて、紛うことなきクソ映画です。
Amazonレビューなんて信用するもんじゃないというのは僕の私見ですが、しかしにしたってあんまりな数字をたたき出す評価平均。
たまに星5評価あるなー、と思うとすっごいレビューが書いてあったり。
こうしてオススメする僕ですが、しかしごく一般論で語るならば貞子3Dはクソ映画である、というのは認めます。
ですので『名作を見たい』『クソと分かってるものに触れたくない』という方は絶対に見ないでください。単に時間を無駄にします。
ではなぜ僕はこれをオススメするのか?
クソ映画被害者を増やしたいなんてトンチキな理由ではありません。
この映画は、ありとあらゆる前提条件をクリアにし、心をおおらかにし、怒りの心を忘れて見た場合において、最高のシュールギャグ映画へと変貌するのです。
そんなもんだいたいのクソ映画も一緒だい!!と思われる方もいるかもしれない。いやいやとんでもない。この映画は一般クソ映画と一線を画す特徴があります。
役者がいい。
一般クソ映画はクソたる所以として役者が槍玉に挙げられがちです。しかし貞子3Dは違う。素晴らしい役者が見事にどうしようもない各キャラクターを演じきります。大根演技なぞ女子高生と主人公の幼少期が若干怪しいかなー?くらいのものであり、その点においての苦痛はほぼありません。
つまりクソ映画において最初の辛い関門である『学芸会見せられてる気分になって苦痛でしかない、見ていられない』を完全にクリアするのです。
さらにクソ映画特有のスーパー徒歩タイムに代表される『本筋関係ない長ーい尺取り』もあまりありません。結果映画としては短めの時間で終わります。
つまり、貞子3Dは、『役者がいいのに根本的に脚本と演出があんまりにあんまりすぎるクソ映画』という、割とレアなクソ映画なのです。
その前提をもって本作を鑑賞した場合、大変ストレスフリーに「なんだこれwwwwwwww」とか「ないないないwwwwwwww」とか笑える、よくわからない屈指のシュールギャグの名作として君臨します。
だから僕はこの映画をオススメする。世界に溢れる傑作ではなく、凡百の駄作とも違う、奇跡のように狂ったこの一作を。
以降はネタバレを交えた紹介になります。ざっくりあらすじを紹介し、うまく勘どころを隠すのが腕のいい映画紹介というものでしょうが、この映画最大の笑いどころをネタバレせずに語るのは困難を極めます。そして私は映画レビューなんて素人もいいところ。よってジャカジャカネタバレをしていきます。なんでネタバレ回避したい方はAmazonの映画紹介欄を読むくらいにとどめておくべきかと。
うん、でもまあ、ネタバレ見たところであんま変わらんと思うよ?
まずは今作のあらすじ。
逆恨みサイコパスニキが貞子を復活させようと呪いのビデオをインターネットに放出。
そのビデオを経由し、貞子たんは自らの復活のために依り代を探し始める。
どういうルールの呪いなのかもふわふわとしたままバタバタと人が呪い殺されていく中、ついに貞子たんは依り代となるにふさわしい女(メンヘラ気味リア充女教師)を見つけ出す。
しかしその女はスーパーサイキッカーだったのだ!!
今バッタと化した貞子の群れとメンヘラサイキッカー(鉄パイプ装備)の壮絶な戦いが始まる!!!!
......いや、冗談抜きでこういう話です。
ぶっちゃけると今作、バッタ貞子VS主人公のところまでの中身はとても薄いです。なのであらすじを書こうとするとこんな感じになる。
いやまあ確かに授業中めちゃくちゃ堂々と呪いのビデオを探した挙句見た直後に殺される生徒とかその友達が呪殺されかけるくだりとか、元凶逆恨みサイコパスニキの家に警察が行くくだりとか、まあ必要な部分でしか構成されていない映画なんですけれど、しかしあらすじと言うと上記のまとめ方が一番正しいかと。
何よりの見どころはやはりバッタ貞子VS主人公の部分であり、それ以外は全てそのためのお膳立てでしかないと僕は思います。
そうバトルパート。ホラー映画を銘打つこの映画の最大の見どころはバトルパートです。
さっきまで巨大化したりたくさんの画面から同時に手を伸ばしてきたりしたとはいえスタンダードなルックスの貞子だった敵がバッタとしか形容できないスタイルでワラワラと這い出してきた時に笑えるか否か。ここで笑えるならこのあとの展開はゲラゲラ笑いながら見れるはずです。
そしてバトルパートの見どころといえば主人公の急速成長も見逃せません。
さっきまでキャーキャー言いながら逃げ惑うだけだった主人公が突如鉄パイプでバッタ貞子を撃破するシーン(しかも2体連続、美しいコンボで)。超必殺技絶叫。最後のバッタ貞子撃破のタツジン的鉄パイプ。最高です。
(まあ主人公側の急速成長があるとはいえバッタ貞子基本やたら弱いところはあります。モンスターパニックでモンスターが弱いってのはどうなんだ。)
無論対決シーン以外にもツッコミどころ盛りだくさんです。1部例をあげると
・ルールガバガバ貞子たん(ホラー映画として成立しない最大の理由)
・中途半端な人数のニコ生視聴者
・意味もなく意味深黒服おばさん
・聖人というか主人公言う事なんでも聞いちゃう系彼氏
・なんか怪しいくらいおっかないのに特に何も無い偉い先生
・人んちで呪いビデオを探すややサイコパス
・突如興奮するサイコパス
・突如死んでるサイコパス
・あまりにも逆恨みすぎる元凶の動機
・突然最適解を導きだす彼氏
・どうしてこれを作中に入れる判断をしたのか謎すぎる貞子と主人公の問答
・マッチしていないエンディング曲
......などなど。
正直ツッコミどころは無数にあり、全部あげるとキリがありません。
なんとも言えない気分になるラストも含めて、ぜひ自分の目で確かめていただきたいところ。
最後に総評を。
僕個人としては『貞子』の名を使っていないのであれば普通に笑えるタイプのクソ映画、という感じです。
やはりどうしたって『貞子』はジャパニーズホラーのシンボル的なところがあり、その偉大な存在を使ってこの結果はそれは怒られてしかるべきでしょう。
しかしそのビッグネームから切り離してみたならば見えてくるのは整合性のなさ、脈絡のなさに突拍子のなさ、それらがしらける間も無く連続して襲い来るどうしようもない映画です。
前述の通り比較的笑える映画であると思います。いやコンセプト的に笑えちゃマズイんですけどね。
『リング』ファンに全力で土下座はするべきでしょうが、それはそれとして楽しめる映画だと思います。自分が寛容だと思える方はぜひともご覧下さい。
実は
こんなのもあるんだぜ。
というわけで突発的に書いてみました。
今後もこういう記事は書いていこうと思うので、なんかこれ見てほしい書いてほしいというのがあれば言っていただければ考えます。
基本的に名作は素直に褒めそやしクソは笑い飛ばす方向で行きますので、笑えないクソだと判断した場合書きませんが。
名作クソ映画問いません。よろしくお願いします。
次はガルパンかなあ。